2017年4月14日金曜日

ミステリー作家の緒川怜に注目

ミステリー作家の緒川怜に注目

 年間一作程度と寡作ながら、気になってる作家が緒川 怜(おがわさとし)だ。たまたま手にして読んだだけだが、細かい取材に基づく精緻な作りになっていた。少し前、勤務先をやめ、本格執筆活動に入ったという話も聞くが、面白い作品をどんどん出してもらいたいものだ。

ミステリー文学大賞新人賞

 2007年、第11回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞した霧のソレア(応募時のタイトルは「滑走路34」)が第1作。その後、特命捜査、サンザシの丘、冤罪死刑、迷宮捜査、ストールン・チャイルドと続く。
 いずれも殺人事件がからむ事件小説。そこに国際問題や航空機事故、中国残留時問題、最近の妙な事件などがまぶされ、小説の中の話なのに、何か現実に起きているような感覚に陥ってしまう。そこが作者の狙い目なのだろう。

社会部出身の現役記者

 と思っていたら、現役の新聞記者で社会部出身。豊富かつリアルタイム性の強いストーリーになっていたのはそこか、と納得した。6作中2作(冤罪死刑、迷宮捜査)は既にテレビドラマ化されているというのも、このリアルタイム性が受けた可能性があるだろう。
取材力の強さが売り

 ストーリーだけでなく、話の一つ一つが非常に緻密で、「へえー世の中こんなになってるんだ」とうならされるシーンも多い。記者らしい取材力の強さのたまものだろう。今後、執筆活動が本格する中で警察小説にとどまることなく新しいテーマも出てきそうだ。さらに多くの読者が獲得できるのは間違いない。

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