2018年2月26日月曜日

薬でエイズ予防の試み

 1980年代、エイズが登場してきたとき、治療法がない不治の病としてものすごい怖がられようでした。それが、ウイルスをやっつけるAZTなどの薬剤の開発で、治らないまでもウイルスのコントロールが可能となり、そう簡単には死なない病気となりました。しかし、人にうつすこと、それもセックスを通じてうつすという特異な性質から、怖い病気としての位置づけは変わっていません。ところが、セックスを通じた感染さえも薬で予防してしまおうという試みが世界中で始まっています。登場から40年近く、人類はエイズを克服しそうな雰囲気です。

健康な人に抗ウイルス薬 ただしリスク高い人


 鍵となるのは、抗ウイルス薬「ツルバダ」。エイズウイルスが増殖するときに必要な逆転写酵素の阻害剤で治療薬として使われています。ではどう防いでいくのか。エイズにかかっていない健康な人がこの治療薬を毎日、服用するのです。もちろん、世の中の全員が服用するのではなく、多数の相手と性行為をする人や、性産業で働く人などが対象。言い方は悪いけど、よーするに男性同性愛者や風俗の人たちがのむのです。米疾病対策センター(CDC)によると、9割の感染が防げるのだそうです。
 
 エイズに感染していない人がエイズ感染者とセックスをするというのは、かなりの度胸が必要というか、無謀でもあります。愛し合ったカップルの男がエイズ感染者で、洗浄した精子を使って体外受精し子どもを作ったなどという例がありましたが、今回の新手法だと、子作りにはセックスを楽しんでということになります。




逆の危険が起きるかも


 その一方で朗報なのか、危険なのかよく分からない点もあります。それはコンドームを使わない生のセックスです。エイズやほか性病のもっとも有効は感染防止手段は物理的に病原体の侵入を防ぐコンドームでした。しかし、うつらないと分かれば、妊娠の可能性がない、ゲイの人たちは心配なく生セックスが可能になります。ピルで妊娠しないようコントロールしている風俗嬢もいわゆる「生中出し」を強いられる危険があります。
 エイズ感染者の減少傾向が頭打ちとなり、次なる一手として考えられたことのようですが、ほかの性病が増えるなどの副作用を心配する声もあります。

朗報でも、いずれ新しい病気も


 性病の一種としてスキャンダラスな扱いを受けてきた病気が、ほぼ克服に近づくとは驚きの気分です。梅毒、淋病は相変わらず猛威を振るっているようですが。それにしても登場当時のあの差別的な扱い。現代の黒死病などという恐ろしげなネーミングさえありました。とにかく朗報と言えば朗報。でも、いずれ新しい病気が出てくるのでしょうけどね。



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