2018年3月28日水曜日

トリプルアクセルに成功、高一の竹内すい

 平昌五輪女子フィギュアスケートはロシアのザギトワ、メドベージェワがワンツーフィニッシュ。日本勢は宮原が完璧な演技を決め、坂本もほぼノーミスで滑りきったがそれぞれ4位、6位とメダルに届かなかった。3位に入ったカナダのオズモンドを含めメダリストとの得点の開きは大きく、逆転どころか追いつくのは、かなり難しいと思わせる結果だった。そこで多くの人の目は早くも次の北京冬季五輪へと向き始めているが、日本勢の中で注目されることなく、伊藤みどり、浅田真央につながるトリプルアクセルを決めている選手がいた。竹内すいという高校1年生の選手だ。五輪後の世界ジュニアでロシアの13歳トゥルソワが4回転サルコウ、4回転トゥループを決め世界をあっと言わせたが、次の五輪では女子も4回転やトリプルアクセルの時代が来ると見られている。そうした状況に対応できる選手として期待は大きい。


高校総体、コンビも決める


 竹内がトリプルアクセルを決めたのは1月26日、甲府市で開かれた全国高校総体のフリー演技だ。いわゆる3回転-3回転のコンビネーションでは難易度の高い、ルッツ-トゥループを決めた竹内は、昨年夏からチャレンジしていたトリプルアクセルを成功させ、それに3回転トゥループのコンビネーションをつけるという大技をやってのけた。
 ネット上に流れている動画を見ると、正直なところ、完成度はイマイチだったが、成功させたこと自体、かなりの意義がある。


トリプルアクセルの演技はこちら↓

https://www.youtube.com/watch?v=ZWBWsVGAmu8&t=396s

 昨年12月のジュニアグランプリで中学3年生の紀平梨花が女子としては世界で初めて成功。それに次ぐ快挙。トリプルアクセルを3回転のコンビにするというのは、浅田でもなしえておらず、現在のところ、男子の技だ。先に4回転に進んだロシア勢もできていないのだ。
 浅田真央の代名詞とも言えるトリプルアクセルは平昌五輪団体でアメリカの長洲未来が決めたものの、個人戦ではうまくいかず、ロシアのトゥクタミシュワは2015年の世界選手権でたった一度決めただけで、その後は成功していない。それぐらい女子には難易度が高い。

次の五輪は女子も4回転、トリプルアクセル時代?


 とはいえ、トゥルソワや紀平がレベルの高いジャンプに成功したということで、間もなく世界中の女子がこのジャンプにチャレンジしていくのは間違いない。そうしなければ勝てないからだ。3回転3回転でも、難易度の高いルッツ-トゥループができる選手はそう多くなかったが、今はルッツ-トゥループが普通になった。アクセル、4回転と進むのは当然のことだ。

 これに対し、現在の世界のトップのザギトワ、メドベージェワや宮原といった選手は厳しい。すでに現役で演技が完成しているとみられ、4回転やトリプルアクセルなど新しい技をおぼえるのは、モチベーションの部分でかなり無理があるからだ。

宮原、坂本、対応は可能か


 日本の女子フィギュア陣は五輪代表の宮原、坂本のほか、世界選手権代表の樋口、一昨年の四大陸覇者三原、人気のある本田真凜ら有望選手が多いとされる。しかし、ジャンプの中心が4回転やトリプルアクセルになったとき、彼女らが対応できるとは思えない。世界選手権で「予想外」の2位に食い込んだ樋口はトリプルアクセルにチャレンジするらしいが、男子と違って、15歳ぐらいまでに可能な種類のジャンプは決まっており、その後は新たなジャンプが付け加わることは少ない。16歳で世界初の4回転を成功させた安藤美姫も、その後は跳べなかった。
 

オズモンドやコストナーこそが中心


 それにしてもだ。ミドルティーンの女の子がいきなり金メダルをさらっていくという現象はどこかおかしくないか。長野五輪のリピンスキー、ソルトレイクのサラ・ヒューズ、トリノ、バンクーバーは荒川、金妍児はまともでも、ソチのソトニコワ。みんな五輪後、プロ転向か引退で、20歳になる前にスケート人生が終わってしまう。先日のミラノの世界選手権のショートプログラムでイタリアの31歳コストナーはザギトワを上回る得点でトップに立ったが、あれこそが望むべき姿ではないのか。上位選手で女性として成長後の姿を見せているのは、世界選手権覇者のオズモンドぐらいのものだ。4回転競争とはいうが、女子選手の場合、どうみても18歳以下でないと参加できない競争。年齢制限をするなり、配点方法を変えるなりの見直しをすべきだと思う。

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