2018年12月13日木曜日

「いずも」の空母化決定。旧海軍以来の保有 どこか滑稽な議論

 海上自衛隊の護衛艦「いずも」の空母化が決まった。自民、公明の与党のワーキングチームは12月11日、次期中期防衛力整備計画の中で、いずも改修の明記を決定。2017年暮れに浮上したいずも空母化は、1年を経て大きく前に進んだ。誰がどう見ても空母としか思えない代物。1200億円以上かけて建造していた、いや設計段階から分かっていたのに、大金を使って改修し、さらに24時間、戦闘機を乗せないから「攻撃型ではなく」「専守防衛は逸脱しない」という訳の分からない言い訳までした上での空母化。どこか滑稽でもの悲しい。

いずも

いずも、同型の「かが」、日本史上最大の空母


 横須賀に停泊中の“護衛艦”いずもと同型の「かが」を見たことがある。満載排水量2万6000トンと4000~5000トンが通常の護衛艦を圧倒する大きさ。海上自衛隊基地に隣接するヴェルニー公園から見ると、ほかの艦船がおもちゃに見えてしまう。太平洋戦争当時、駆逐艦を引き連れた戦艦大和のようでもある。飛行甲板の長さは248メートル。旧海軍のどの空母よりも長いのだ。

 艦載機も決まってる。さすがにゼロ戦ではない。米国の最新鋭ステルス戦闘機F35B。短距離離陸・垂直着陸機で、巨大な米国の原子力空母に比べて飛行甲板が短い分、こうした戦闘機が必要になるようだ。
 
 現在は別名、ヘリ搭載護衛艦と呼ばれ、ヘリ14機が搭載できる。潜水艦の哨戒活動能力がきわめて高い艦船と言われている。とはいえ、いずもを作った後になってB35を搭載することを考えた、なーんてことはあり得ないだろう。

かが

中国の海洋進出に対抗


 目的も誰が見ても明らかだ。中国が海洋進出を強め。南シナ海で勝手に領有権がはっきりしない島を埋め立てて基地を作ったり、ポンコツ空母を購入したり、あるいは建造したりと、やりたい放題。旧ソ連ですらまともにできなかった、海での米国との対決に乗り出しており、米国のポチたるニッポンは、対中国戦の一翼を空母を作ることで本格的に担ったということだろう。米国の意向だけではなく、かつての栄光の日本海軍を取り戻したいとの気持ちもあったと思われる。

「防衛型」って、そんな理屈、無茶だわ


 防衛省側ではいずも建造-空母化がどう展開していくか、すべて計算済みだったに違いない。政府は従来、国会答弁などで「攻撃型空母」は憲法上、許されないとの見解を示す。そして、いずもは攻撃型ではない、F35は常に艦船に搭載しておくわけではなく、防衛任務が生じるなどした際に運用する「防衛型」と答弁を繰り返している。戦艦大和を作っておいて24時間砲弾を積んでいるわけではないから輸送船だと言うのと同レベル。それでも、与野党とも、中国の動向を気にして、ほとんど追及されないまま通ってしまう。
 「明らかに憲法9条違反」(社民党の又市征治党首)の批判も、じゃ空母を次々建造して沖縄と宮古島の間を我が物顔に通過していく中国艦船を放置していいのかという指摘の前にはほとんど議論にもならない。

結局、憲法か、艦載機満載の空母


 結局、日本国憲法がどうにも時代に合わないものになっているとしか言えないのもしれない。米ソ冷戦当時とは大きく時代は変わった。北朝鮮のような小国が核ミサイルを持って、日本を脅すなど想像もしてなかっただろう。だからといって、安倍晋三に乗っかって憲法改正というのもけったくそ悪いのも事実だ。米空母のように、甲板に多数の戦闘機を並べた「いずも」や「かが」が日本海や西太平洋を航行していく。現実となると、ちょっと怖い。

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