2017年12月19日火曜日

外国人客用白タクけしからんと言うけれど

 テレビを見ていると、先日来、中国人ドライバーによる白タクのことが半ば犯罪キャンペーンの形で報道されていた。成田空港や関西空港でワンボックスカーを中心に観光客を迎えに来ており、都内のホテルなどに送る仕組み。観光客は中国国内の会社とネットで車を手配し、支払いも済ませており、金銭のやり取りがないため当局は摘発が難しいという。インタビューに対しドライバーは一様に「友達の迎え」と答え、一方、空港のタクシー運転手からは「白タク行為そのもの。客が奪われておりけしからん」と怒りの声を伝えていた。確かに日本では法律がある以上、白タク行為は許されないだろう。故に当局はさっさと摘発すべきだというトーンでまとめられていた。




ニーズを掘り起こしてきたのか


 違法行為をやってる連中に同情する気はさらさらないし、とりあえずとっ捕まえて法治国家としての姿勢を示してほしい。しかし、である。こんな事態が起きるには理由がある。今回のことで言えば、明らかにタクシー会社の怠慢だ。規制の上にあぐらをかき、客のニーズを掘り起こしてこなかったことに原因がある。
 海外に出かけたときのことを考えてほしい。航空機とホテルだけがついてあとはフリーという場合、空港からホテルまではワンボックスで送ってもらうケースが多い。バンコク、台北、香港などでそんな経験をした。海外に降り立ち、初めての地で手配された車がおり、あまり上手とは言えない日本語でも会話できればとても安心だ。地元のタクシーの行列に並ぶことなど、海外旅行に慣れていないと難しい。英語圏の国ならともかく、それ以外だともっと緊張するだろう。ただ彼らの形態が白タクに近いのか、旅行会社のドライバーなのかはよく分からない。国によって違うだろうが、そもそもそんな区別はないのかもしれない。ロシアだって、タクシーはほとんど走っておらず、市民が堂々と白タクを利用している。


自分が中国人なら、日本のタクシーには乗りたくない


 そこで逆の立場で考えてみよう。成田や関空に降り立ちタクシーに乗ろうとする。運転手はもちろん、ほとんど英語も話さないし、ましてや中国語や韓国語などは話さない。おまけに愛想がいいわけでもない。むすっとした態度が多いことは、皆さんよくご存じだろう。外国ではタクシーに気をつけろとよく言われる。ぼったくりにあったり、変なところに連れて行かれたり。日本だけが例外でいられるわけではない。訪日客はみんなそんな風なイメージでやってくる。




白タク丸ごと奪い取れば


 であれば勝負はすでについている。スマホのアプリで簡単に予約でき、迎えに来てくれて言葉も通じる。外国人にとって白タクかどうかの規制など関係ないのだ。事故時の保険とかの問題もあるだろうが、海外旅行客は元々、旅行保険に入っており、自分が運転しているのと違ってあまり影響もないはずだ。
 問題はこれだけ訪日客が増えているというのに、特に中国客の増加ぶりはすごいのになぜ手をこまねいてるかだ。中国の旅行会社とタイアップし時には中国人ドライバーも雇い、白タク営業分を奪い取ってしまえばいいではないか。日本のきちんとした会社であれば結果的に事故が起きたときの対応が違うはず。いわば闇商売のような中国人白タクとは同列とはならない。そして現場のタクシー運転手は客が取られたと文句を言う。その前にやるべきことがたくさんあるだろうに。



規制業種たたくばかりで、発展見られず


 タクシー業界は建設業界と並んで、不況時の雇用の受け皿的な役割を担ってきた。しかし、少子高齢化の中でドライバー不足は顕在化しており、白タクをたたいたところで、いたちごっこが続くばかりだ。先日のテレビ番組では成田から東京都心部まで2万円と、タクシーより2500円安いぐらいでそれほどダンピングをしているわけではないようだ。とすると、彼らと敵対するより取り込む方がはるかに価値が高くはないか。もっと大きな所を見た方がいいのではないか。

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