2018年6月12日火曜日

秋風羽織の「がん」、簡単に治ったよね

 まるでフジテレビの月9か昼ドラマみたいなどろどろの展開が続くNHK朝ドラの「半分、青い。」。恋愛ドラマで活躍する北川悦吏子らしい展開ぶりで、目が離せない感じになってきた。そんな中で「オヤ?」と思わせるシーンがあった。豊川悦司演じる人気漫画家秋風羽織のがんをめぐる描き方だ。
 秋風は何年か前、大腸がんとなり治療を受けていたが、便から出血があったらしく、本人は「再発」と思い悩んでいた。ただ病院には行っていなかった。病院の領収書がないことに気づいた秘書の菱本若菜(井川遥)が診察を受けるよう促した結果、がんは再発していても初期のもので、内視鏡治療で完治した-そんな筋立てだ。


次は仏壇の遺影 みんなが不治の病じゃないっつーの


 テレビドラマで「がん」といえば、ほとんど「不治の病」として扱われる。若い男女なら白血病。中高年女性なら乳がん、子宮がん。男なら肺がん。具体的にどのドラマがどうかなんて思い出せないけど、登場人物ががんになると、次に登場する時は仏壇の写真とかのシーンがやたら多い気がする。

職場に5人のがん患者


 手っ取り早く悲劇を求めた結果だろうけど、安易すぎるというか、かなりの違和感がある。というのも、現在所属している職場は15人ほどが働いているが、5人のがん患者がいる。悪性リンパ腫、精巣がん、食道がん、大腸がんに多発性骨髄腫。少し前にリタイアした先輩は肺がんだった。
 がん患者たちは、ほぼ同じ時期の3年ぐらい前に発症。食道がんと大腸がんの2人を除き、ステージが進んでおり、かなり厳しい治療を受けた。その後職場復帰し、再発もなく普通に仕事をしている。健康な時代と違って、徹夜など無理な仕事は避けているが、ごく普通に働いている。それが今どきの実態ではないのか。

再発、悪化がないとは言わないけど


 大腸がんのような比較的、進行の遅いがんでは内視鏡による手術で4、5日の入院で完治というケースも多い。悪性リンパ腫など血液のがんも新しい治療法がどんどん開発され、一番厳しいと言われる肺がんでも、抗がん剤治療だけで数年生き延びている人もいる。
 もちろん、千代の富士の命を奪った膵臓がんのようながんもあり、今元気な職場の仲間たちがいつ何時、再発したり、悪化するかは分からない。でも、現実問題として、今はみんな元気だ。抗がん剤治療で一時期、脱毛したり、やせたりしていた人も、しばらくすれば髪の毛も体重も元に戻っていた。つまり見ただけでは、分からないのだ。

さらっとがんサバイバーを登場させたら?


 こんな実態をドラマに含めたらどうだろう。秋風だけでなく、井川は乳がん、律(佐藤建)の父親谷原章介は胃がん、とかだ。みんな再発の不安を抱えながら、今の生活を楽しんでいる。別に彼らががん患者であることをことさらストーリーの中に取り上げることなく、さらっと流すだけでいい。それだけで、がん患者はどれだけ救われるか。

 北川悦吏子だけでなく、新しい時代を描くことに長けた湯川和彦らの脚本家の皆さん、がんのことを取り上げるのではなく、ドラマにさらっとがん患者を登場させて。よりリアルなドラマになることは間違いない。
 ところで「半分、青い。」のストーリー。1990年当時、がん再発、内視鏡治療で完治って、そこまで進んでいたかなあ。
 

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