2018年8月25日土曜日

なぜ横浜だけに大地震?東京も一緒でしょ

 最近ではなかなか出色の記事を読んだ。横浜にまもなく大地震が来るという週刊現代9月1日号だ。しかし、よく読むと、全国地震動予測地図で横浜で今後30年以内に震度6以上の確率は82%という数字が根拠になっているだけで、新しい情報は何もない。あとは地震が来たらあーなるこーなるの羅列。しかも、その中身たるや、地震のことを少しでも取材した経験がある記者やデスクだと、絶対に書かない内容ばかりなのだ。少し前、3K職場と呼ばれ人材が集まらないと言われてきたマスコミ業界だが、どうとうこのレベルまで落ちてきたのか。


東京湾に大津波?誰が言ったの?


 記事によると、全国有数の観光地であるべみなとみらいや赤レンガ倉庫には大津波が襲来するそうだ。
 横浜のベイエリア地区といえば東京湾の南側。ここに大津波が来るということは当然ながら東京、千葉にもものすごい大津波が襲来する。どちらも埋め立てで海抜は同じようなものだ。

 しかし、東京湾に津波が来るなんて誰が言ったのだろう。湾口が狭いため、津波のエネルギーが減衰されるとして元々、津波はあまり考慮されていない。
 東日本大震災でも、関東大震災でも大きな津波は観測されていない。巨大地震だった元禄関東地震(1703)、安政東海地震(1854)でも襲来した津波は2メートルほど。このため、横浜市が想定している津波も、同程度の2~3メートル。東京も同様だ。

 現代さんはおそらく、関東大震災のことを考えているのだろうが、あのとき津波に襲われたのは、外洋に面した三浦半島の西側、鎌倉、大磯などだ。市内全域が東京湾に面した横浜のことではない。地理を知らないか、それとも神奈川県の津波犠牲者を横浜と間違えたか。編集者としては致命的なミスだろう。

横浜みなとみらいのマンション群

中華街の火災?密集地はそこら中にあるけど


 次におかしなことを中華街は消防車も入れないほど道が狭く、火事が発生したら消火できなくなると指摘する。
 これも変というか、当たり前というか。横浜には中華街に限らず住宅などの密集地域はヤマほどある。わざわざ中華街という理由が分からない。それをいうなら、東京の山手線各駅周辺は新宿、渋谷、池袋まどターミナルに限らず人も多く、密集度も遙かに高い。世田谷の住宅地など環八の内側を歩いてごらん。 どこまでもどこまでも、消防車が通れないような住宅地が続くから。


老朽化鉄道で孤立?東京からヤマほどの救援


 京浜東北や横須賀線などJR各線、東急東横線など鉄道は古くて大地震への耐性は低く、首都高の横羽線は老朽化して危険で、地震によって孤立の恐れがあり脱出できなくなるとも書いた。

 しかしである。もし横浜だけが大被害にあった場合、多摩川の向こう、つまり東京が生きていれば、救援などいくらでも来る。東京が全国の災害の救援センターであることはご存じの通り。むしろ幸せと思うべきだ。

横浜が壊滅するとき、東京はもっとひどいことに


 もちろん、そんな夢みたいなことはあり得ない。津波が発生するような南海トラフや相模トラフの海溝型地震が来れば、東京湾の津波はなくても、長周期地震波によって、東京、横浜、さらには川崎に林立する高層ビルを中心に恐るべき被害が出るだろう。
 いわゆる直下型地震は歴史的には横浜というより東京の可能性が高い。

筆者は広島ファンか、なにせ横浜に弱い


 東京には立川断層というマグニチュード7・4クラスの地震を起こすと見られる大きな断層もある。横浜だけをことさら取り上げた週間現代の狙いは何だったのだろう。よほど横浜がお嫌いか。そうそう、広島カープのファンかもしれない。去年のクライマックスシリーズで苦杯をなめたようになぜかDenaが苦手。もしかして、スポーツ担当の記者が書いていたりして。

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